Art and Face

アートの輝きを見つけるブログ

アーティスト架菜梨案(かなりあ)

世界が“愛”に溢れているから

Artist kanaria 

 

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2011年多摩美術大学 絵画学科油画専攻卒業以降、『ZEN FOTO GALLERY』などで、作品発表を続けるアーティストの架菜梨案。 

油絵を通じて、自身の周りに溢れている”愛”を表現しているとのこと。
デビューから3年。顕著に制作を続けている彼女ですが、在学中はアーティストをする気持ちは薄かったそう。そんな彼女を芸術の世界へと導いたものとは? 
ベリーダンサーとしても活躍している、魅惑的な架菜梨案に単独インタビュー。

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油絵はなんだかよく分からない
だから続けたい…

 ―まずは絵を書き始めたきっかけ、または美大を目指したきっかけを教えていただけますか?

油絵との出会いは、小学校5年生のときです。絵画教室に飾ってある油絵を見て瞬間的に「私もやってみたい!」と感じたことが始まりでした。でも、それから実際に触る機会はなかなかなくて、はじめて油絵を描いたのは中学での美術部。扱ってみると物質感とか、描き味がすごく好きでした。よくわからなくて、難しさもあるのですが、それも魅力的に感じました。ただ、そのころは服を作ることも好きで、絵をやろうか、服をやろうか、よく迷っていました。最終的に「服はとても明確だけれど、絵画はなんだかよく分からない、だからもっと突き詰めてやってみたい」と自分のなかでそんな思いになりました。はっきりと美大に行くと決めたのは中学2年生のとき。美術部で仲の良かった友だちも美術系の学校を目指していたこともあり、自然な流れでそう決めましたね。

訪れた東京でカルチャーショック
大阪を出ると決めた日

ただ、初めは出身地の関西の美術大学への進学を考えていました。地元でやりたかったし、「東京なんて行くもんか!」みたいに考えていた所もあったんです。考えが変わったのは高2のとき。友達3人で「ちょっと東京の絵も見ておこうか」みたいな軽い感じで、タマ美やムサ美の学園祭に訪れたんです。そしたら、規模も大きく、画風もさまざまで、関西との違いを当時はすごく感じました。友達も私もガーンと殴られたみたいにショックを受けて(笑)。それで、東京に行こうと決めたんです。浪人生をすることに決めてからは一人暮らしをしながら東京の美術予備校に通い、1浪で入学したのがタマ美でした。

作品が売れたことが
作家になる決意表明のきっかけ

―大学で過ごしていたときのこと、アーティストになろうと思った経緯を教えてください。

大学には入ったものの、初めはアーティストを続けようとは、あまり考えていませんでした。「卒業したら、きっと絵とは違うことをして生きていく」そうずっと考えていたんです。大学3年のころから、今の画風になってはいたものの、大学内でしか展示もしませんでしたし、講評で発表して、先生方の意見をもらって、それで終わりでした。だから、あまり“アーティスト”と言う自覚は芽生えていなかった。ただ学部生最後の4年生のときに「せっかくだから個展をやろう」と銀座のGallery 銀座フォレストで個展を開催したんです。きっと売れても2、3枚がせいぜいだろうと思っていたら、自分の予想に反して何枚も作品が売れたんです。それが社会にアーティストとしてコミットするきっかけになりました。「買ってくれる人がいるなら、これは私だけの問題ではないのかもしれない…」そんな風に考えたんです。また、その個展にたまたま、『ZEN FOTO GALLERY』のオーナーが来ていて、それが縁でそちらでも展示をさせてもらえる事になったんです。とても幸運なできごとでした。

すべては別々だけれど
つながっている

―作品について詳しく教えてください。

まず、私のアーティスト名を見てください。 「架菜梨案」“カナリア”という宛て字なんです。これは漢字の下の遍を見てもらうとすべて「木」という同じ文字です。そして、上はバラバラ。私のアーティスト感もこれと同じです。すべては多種多様でいろいろなもので溢れているけれど、根本ではみんなつながっている、と感じるんです。時間も、空間も越えて、世界はつながっている。キラキラしていて、命が溢れている。世の中には偏見とか、社会的常識とかもいろいろあるけれど、そういうものは真実じゃない。真実はもっと根本的で、大きな部分でつながっているものだと思うんです。  それはいうなれば「愛」です。愛が全てで、私の周りはつねに愛で溢れているんです(笑)。自分が生きて存在していることが、愛です。世界を愛してます。自分が関わっているものも関わっていないものも、広い意味では、つながっていると感じています。

 

―架菜梨案さんの作品の一つのタイプでは、人が登場しますよね。もつれ合っている人々。人間同士の関係のなかで生まれる「愛」もその一つですか?

そうです。それは男女でも女女でも男女男でも関係なく、愛の形としてあると思うんです。男と女が混ざって、何人いるか分からない状態も好きです。たぶん、あまり関係ないんです、生きている状態が愛ですから。(左絵画 2013「私たちは」)

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―架菜梨案さんにとって作品とはどういうものですか?

自分の絵画に対しての愛情は深くて、上手くいったときは「かわいいな、かわいいな」とすごく感じます。例えば、最近の作品では、冬の寒々しく、冷たいなかでの命を表現しようとオコジョが出てきたり、トナカイが出てきます。画面のなかで気に入っていると感じる、例えばオコジョの部分などは撫でたくなるほど、愛情を感じています。そして、かわいい子たちを、誰かに気に入ってもらえて、購入してもらえたら画家としてとても嬉しく感じます。(右絵画 2014「愛の新世界」細部) 

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物質的な問題で、売れないと部屋に絵画が溢れてしまうというのもありますが(笑)。
売れたら新しい絵が描けるから、やっぱり作品は売れて欲しい。

 

作家活動もどんなことも
自分の心に正直に生きれば見えて来る

 

私もアーティスト活動だけで、生活はまだできていなくて、夜の18時くらいから24時まで、アルバイトで働いています。ただ時間帯が夜だから、制作活動を確保しやすいですね。日中は制作を行う日もあるし、ベリーダンサーとしても活動しているので、練習や発表を行う日もあります。毎日、忙しいのはあまり好きではないので、今の生活は自分にあっていて、ちょうどいいです。副業を考えている人は、副業でも自分に合っているもの、やりたいものを探すことをお勧めします。
私は、自分らしく生きるために絵を描いている部分があり、さらに絵を描くことが生きること、思考することの原動力なんです。それは絵を描く原動力にもなっていると感じます。作家活動をなんとか続けたいと思う人も、作家にはならないと考えている人も、大学を出たら自分の正直な気持ちを原動力に活動すればいいと思います。]

 

ーこれからの予定を教えてください。

近く、7月に『アート大阪』というフェアがあり、そちらに『ギャラリー工房親』より出品します。ホテルのワンフロアーを貸し切って、さまざまなアーティストの作品が展示されます。大阪での展示ははじめてなので、古い作品から、新作まで発表する予定です。東京では8月に『ZEN FOTO GALLERY』で個展をする予定です。こちらは多分新作が多く並ぶと思います。
これからも、絵画に正直に真摯に向き合っていこうと思っています。

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架菜梨案プロフィール
1987 大阪出身
2011 多摩美術大学 
美術学部 絵画科 油画専攻卒業




ー展示歴ー
-グループ展-
2012. ワンダーシード2012 (トーキョーワンダーサイト渋谷)
2012. 39advance展 (Gallery 工房 親)
2012. ART KYOTO 2012 -アート京都2012- (京都 ホテルモントレ ZEN FOTO Galleryより)
2012. Strange Stories展 (ZEN FOTO Gallery)
2013. ワンダーシード2013 (ワンダーサイト本郷)
2013. 第一回損保ジャパン美術賞展Face (損保ジャパン東郷青児美術館)
2013. ワンダーウォール2013 (東京都現代美術館)
2013. 絵画を考える-colors- (Gallery 工房 親)
2013. 空想美術大賞展 (伊藤忠青山アートスクエア、京都 蔵丘洞画廊)
2013. Dアートビエンナーレ展 (堀科学芸術振興財団)

-個展-
2010. 架菜梨案個展 (ギャラリー銀座フォレス)
2011. 架菜梨案Painting Exhibition (ZEN FOTO Gallery)
2012. Kanariaradiance (ZEN FOTO Gallery)
2013. Song of Songs (ZEN FOTO Gallery)
http://kanariaroom.web.fc2.com/
架菜梨案の最新情報や作品情報・購入については
アーティストのHPをご覧ください。

 

 

 

 

 

 

アートの話をするということ

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こんにちは。

美大の油絵学科を卒業したtkhskorです。

美大なんて卒業していますが、正直に言うと、今も昔も絵を描くのはそんなに得意じゃありません。子どものころは、クラスの中でも絵が下手くそで、賞など一度もとったことがありませんし、みんなで漫画を描いて交換することになっても、私の絵だけ選ばれないで残ってしまう始末でした。

そんな私が初めて芸術に出会ったのは美大受験をするために訪れた画塾でした。

私は絵が下手くそにも関わらず、漫画が好きだったため、密かに漫画家になりたいという夢を持っていたのです。

せめて画塾の先生に「君には才能が無い無理だ」と言ってもらえたら、「漫画家」という無謀な職業にも絵が上手くなりたいという気持ちにも諦めがつくだろう、という理由で美大予備校である画塾を訪れたのです。

 

ただ私はそこで画家•彫刻家など、いわゆる芸術家という人に会いました。

✳そこの予備校は、画家や彫刻家としても活躍してる方が講師でした。

それまで私は「画家」は歴史の中の人と思っていたので、現代でもいわゆる「画家」が存在しているのが衝撃的でした。

それほどアートに馴染みがなかったのです。

しかも、その予備校の先生は「才能がない」と言ってくれるどころか、デッサンを誉めてくれました。

 

そして、単純な私は芸大美大を受験することに。

漫画家になるという夢はなんとなく心にありましたが、それ以上に

それまで、何かに打ち込んだことがなかった私にとって、「芸大美大にいけるかもしれない!」は、自分ではない素敵な誰かになれるきっかけになるような気がしました。

 

ただ絵の勉強をはじめて半年くらいは絵画というものがまったくわかりませんでした。

それまで通りのへたっぴだったと思います。

ただ画家の先生が「これはかっこいいんだよ」「こんなのがいいんだよ」と教えてくれるのをよくわからないなりに、分かろうとした結果、徐々に「芸術とはこんなに素敵で、楽しく、そして自分に歩み寄って来てくれるものなのか」と思えるようになりました。

これは私の本質を大変豊かにしてくれた出来事でした。

 

この文章を読んでいるあなたは、ゴッホ、または北斎ダヴィンチなど、様々な画家たちをみて、大好きなロックバンドの音楽を聴いたのと同じ様な、または月9ドラマで感動したような、少年漫画を読んでうきうきするような、映画で泣く様な、それと同じ、またはそれ以上の感動を感じたことがあるでしょうか?

美術•芸術•アートと呼ばれているものたちは、古典であろうが現代であろうが、気軽な楽しさに溢れています。

それに気づくにはほんの少しのコツを知るだけです。

子どもから大人まで、美術は楽しむことができます。

たとえ現代美術が分け分からなくても、古典的な絵画がいかめしくても、アートは難しいものではありません。

むしろ映画や漫画、音楽などとまったく同じ魅力があります。

また芸術は、ほかのカルチャーと同じように作品をみるだけではなく、その作品を作った人自体にも魅力があることが多々あります。

有名だから、とか技術がすごいからと言う理由だけで、魅力が決まらないのも芸術のいい所だと私は思っています。

そんな芸術のお話を、たくさんの人たちに伝えたい。

ここはそんなブログです。