立ち止まると見えてくる、 リー・キット展 「僕らはもっと繊細だった。」原美術館
11月の三連休最終日、私は東京・品川の原美術館に訪れました。開催中のリー・キット『僕らはもっと繊細だった。』の鑑賞のためです。
同館に来たのは、2015年5月に開催されていた『サイ トゥオンブリー:紙の作品、50 年の軌跡』以来なので、3年半ぶりになります。
この美術館、元は実業家原邦造の邸宅として建設(1939)されたため、独特の雰囲気があり、どの美術館にもない魅力を孕んでいます。
リー・キット『僕らはもっと繊細だった。』は映像を効果的に使った素敵なインスタレーション作品でした。
部屋(空間)全体を一つの作品として使用しているため、作品数は多くありませんが、時間をかけて鑑賞できる作品が多いので見応えは十分にあります。
5分程度の映像が多く、途中はっとする仕掛けもあるので、10分程度は一つの作品に向き合うことをおすすめします。何度か視点を変えてみて鑑賞してみても新たな発見のある展示でした。
また原美術館の雰囲気をよくとらえて作品が作られており、「ここだけでみられるリー・キット作品」でした。
原美術館は常設もなかなか見ごたえがありますが、今回はあえて常設展示を目にいれないように回りました。
リー・キットと美術館の、二つの世界だけを楽しみたかったからです。
私が訪れたときにちょうど、ギャラリーガイドが行われていたので、解説を聞きながら展示を回ることができました。学芸員のお話がお上手でいろいろ裏話なども交えながら解説してくれました。
裏話の一つに、リー・キッドは作品をかける場所を色々検討しながら展示方法を決めていったとのことで、試行錯誤中に開けた釘穴がところどころそのままの状態で残っているとのこと。
またリーキットは、より作品をよく見せるために、原美術館の道や展示室に壁の増設をお願いしたとのこと。
こだわりがありつつ 、偶発的に生まれた余韻を大切にしている感じもあり、素敵だなーと思いました。
色々良いところや勉強になったことは多い展示でしたが、
正直、生でみないと伝えられない展示です。
他ではみられない展示なので、ぜひ会期中に足を運んでみて欲しいです。
絵画作品としても好きです。